Scene9



涼と美由紀が付き合いだして 早 半年が過ぎようとしていた 季節も春先からひと夏を終え 夕焼けも人恋しいような 何か 寂し気な風が吹き これかからの二人の行く末を暗示しているかのように 運命は 動き出した

涼は 相も変わらず 美由紀に振り回されている でもそれが 幸せだと感じ始めていた 一方美由紀も相変わらず涼を悪戯な性格で翻弄している事で何もかも受け入れて我が儘を聞き入れてくれる年上の涼と付き合っていることが

何より幸せだった そんなある日 美由起から連絡が入った 「涼?あのね…そのね…」何かいつもと違う美由紀の電話に「どうしたぃ? 何か有ったのかぁ?」涼が問い返す 「えっ?いや そのね」歯切れが悪い美由紀

「何時もらしくないぜぇ 何でも話て見ろぉ」と涼が促すと 美由紀は「涼 ホントにビックリしない?約束よ!」と話すのを決心したらしく聞いた 「あぁ 何でも言ってみろぉ いままで 美由紀には やられっぱなしだからなぁ 少々の事じゃあ驚かねぇ 良いから 言ってみろぉ」

と再び促した涼 「実は…涼の…子供が出来ちゃった見たい!」と意を決して告白した美由紀 「えっ?俺の子供?」流石の涼もイマイチピンと来ない 「何?美由紀 妊娠したのかぁ?」

涼が聞き返す 「うん そうみたい でも 涼が嫌でも 私絶対 子供生むから だって…だって…私 大好きな涼の子供欲しいもん!」と美由紀は今度は嘘泣きではなく最後の言葉の方は涙声になって必死で涼に訴え掛けていた

そんな 美由紀を見た涼は 「おいおい 美由紀? なぁに泣いてモノ言ってんだァ? 俺がいつ?嫌だって言ったぁそんな事これっぽちも言ってねぇぜ 美由紀が産む気なら 是非俺の為にも頑張って丈夫な赤ちゃん 産んでくれぇ」

「えっ ホントにいいの?」美由紀がまだ微かに涙声で問い返す 「あぁ あったりまえだぃ 可愛い赤ちゃん 頼むぜぇ まぁ 美由紀に似ちゃぁ 気の毒だがな」と涼が毒づくと 「まっ よく言うよねぇ 涼に似たら禿げちゃびんの赤ち

ゃんになっちゃうじゃない!」美由紀が言い返す 「なっ 何? 禿げちゃびんだとぉ?よく言うぜぇ全くぅ その禿げちゃびんにいつも べったり磁石みたいにくっ付いてるのは 美由紀の方じゃねぇかぁ?」と涼も負けじと言い返す

涼の言葉を聞いた美由紀は「 引っ付くのがそんなに嫌なら これからも どんどん引っ付いてやる!涼が嫌がるの大好き」と悪戯な目をして言った 「いやぁ 参ったね 美由紀には これから先が思いやられるぜぇ 全くぅ でも元気な赤ちゃんを産んでくれぇ  

美由紀にそっくりな 可愛い子をなぁ」涼はボヤキ混じりで美由紀に言った 美由紀は「私は 涼に 性格も 顔も そっくりなコピーが欲しい!」 それを聞いた涼は 「なぁんでだぁ?」と聞き返す

「それはね 年で言うと 涼の方が早く死ぬじゃない でも 涼に性格も 姿形もそっくりなら また 美由紀のこと大事にしてくれそうだし 第一に また 腕にしがみつけるじゃない!」

例の悪戯な目で美由紀が言った 「へぇへぇ なぁんで 腕の話になるかねぇ」と呆れた様子で言う涼 「何よ!何か気に入らない?」と先まで泣いていた美由紀が強気で言う


「やれやれ この先 美由紀のコピーが誕生するなんて 俺ってついてねぇ」涼はボヤきながら言った 今度は美由紀が「涼 女の子と男の子どっちが良い?」と聞いた 「俺ぁ 元気な赤ちゃんならどっちでも良いぜぇ でも 出来れば

男の子だな その悪戯好きな性格が似てなけりゃもっと良いぜぇ」と 涼が言うと 「何よ 悪戯好きで悪かったわね でも意外だな 涼なら絶対 女の子っていうと思ってた 何故 男の子?」と 美由紀が訪ねた 涼は「聞きたいか?」

と尋ね返してきた 美由紀は「うん 教えて でも 悪戯な性格の女の子なんて 最悪だぁ なんて言わないでよ」と先手を打って答える美由紀に涼は「ピンポーン 正解!」と言った 美由紀は「あぁ やっぱりぃ もう 知らない!涼のバカ!」美由紀が拗ねて言った 涼が透かさず

「へぇへぇ なぁに拗ねてんだぁ 冗談だぃ 美由紀が男の子欲しいのとよく似てるぜぇ」と意外な理由に美由紀は驚いて「えっ そうなの?」と聞き返した 「あぁ ホントさぁ 俺ぁ 年から言えば 死ぬのが俺の方が早いに決まってるぅ

俺が死んじまったら美由紀も寂しいだろうが死んじまった俺も淋しいぜぇ 美由紀に永遠に会えなく成るからなぁ だから 俺と美由紀の 確かに大恋愛をしましたって言う証が 今回の 赤ちゃんで残せるんだぃ こんな 幸せなことはねぇし 俺にそっくりな男の子だったら 寂しくねぇだろ?」と涼が言った それを聞いた美由紀は何時もの涼の優しさに慣れっこの美由紀が今度ばかりは妊娠という喜びもあり涼の暖かくて 優しくて 頼りがいのある気持ちに 心の

奥底から込み上げてくる熱い思いが一気に吹き出し電話を握り締めたまま涙が止まらなかった 「美由紀 聞いてんのか?」返事のない美由紀に涼が聞き返してきた でも 感極まった状態なので ただただ泣くしかない美由紀 「おい 美由紀 どぉしたぁ?聞こえてんのかぁ?」涼が再び聞き返した 「うん ごめんね 何か 嬉しくて 涙が出ちゃっ

て…」美由紀は涙声でしゃくりながら小さな女の子のように答えた それを聞いた涼も涙もろい正確なので グッと目頭が熱くなり おそらく 美由紀にも負けないくらいに 男泣きしていた このまま二人は幸せに成るはずだった しかし 運命の悪戯は 二人にとって やがて 大きな試練を 与えようとしていた…


 次回に続く