Scene4


二人は食事を済ませ 家路と向かう 実は 涼と美由紀は 遠距離恋愛だった といっても 遠距離というより 近県同士という方が 当てはまるかもしれない 取り敢えず涼は 美由紀の住む街へと 車を走らせる 

涼の愛車はビンテージカーで逆輸入のダットサンSPL310だ 車好きの涼が選んだとあって R型のエンジンはそこそこチューンされ ソレックスのキャブから奏でる吸気音は辺りの人たちを 魅了した

車は 湾岸通りから 一気に 阪神高速神戸線へと 駆け込んだ ランプの合流から 直ぐさま 追い越し車線へ 物凄いレーシングサウンドと共に あっという間に 法定速度を後にした オープンカーという事もあって 風が強く車内に吹き込み 美由紀の黒く長い髪は レイプに近いくらい 弄ばれている 勿論 二人の会話なんて 今は 不可能に近い状態だった

車は 相変わらず 良いエンジン音を奏でながら カッ飛んでいく そんな折 美由紀が何やら必死で 身振り手振りで言っている だが 凄まじい風の音には勝てず 直ぐに かき消されてしまう 「何だぁ!」涼も必死に聞くが 美由紀に伝わらない 仕方ないので すぐ先のパーキングへと車を滑り込ませた ブゥオン!!車は パーキングに止まった すると美由紀は 止まるが早いか ドアをハネ開け トイレに駆け込みに 猛ダッシュして行く その姿を見た涼は全てを理解した 美由紀の必死の訴えは トイレに行きたかった それも我慢の限界が来てたのだろう

涼は美由紀の 必死の形相を思い出したら 済まないが笑えて来た ニャニヤ笑っていると 美由紀が すっきりした表情で 戻ってきた 車に乗るなり 美由紀は「もう 信じらんない もう少しで おもらしするとこだったわよ」

「ハハハ 間に合って良かったなぁ 俺に感謝しろぉ」と涼が言うと「でもあんな中でよく私がトイレだって分かったね」「あぁ 美優紀のことなら何でも分かるさ」自慢げに答える涼だったが実は偶然と言うか 何を言ってるのか分からなかったので車を止めて聞きたかっただけなのだ そんな事も知らず「涼 ありがとう」と美由紀が言うと 「い いやぁ まぁ それ程でも」とぎこちなく言った 「今度ぁ ゆっくりと走るわ!会話が出来るくれぇになぁ」とちょと済まなさそうに涼が言った 「うん」美由紀も快く返事をした

キュルキュル ブォン!! エンジンを掛け 再び車を走らす パーキングに 心地よい エンジン音を 残しながら二人の乗った オープンカーは 夜のハイウエーと消えていった


次回に続く