Scene2


結局美由紀は 観覧車には乗らず 涼の腕を 組むというより ギュッと抱きしめて一緒に 夕闇が迫る岸壁を歩いている

街はまるで夜空の星のごとく 一番星が輝いて それにつられて 他の星たちも輝くように ポツリ ポツリと街の灯火は増えて行き やがて1000万ドルの夜景へと姿を変えて行った

「あぁーいつの間にか 綺麗ー 私神戸の夜景 だーい好きぃ!」と美由紀は目を輝かせて言った 「本当だなぁ」涼も感心するように言った

「でも美由紀ぃ」と涼が言うと 「なぁに涼?」と美由紀が答えた 「いやぁ 腕を組むのは 構わねぇが その俺の腕を 抱き枕見てぇにしがみつくのを 止めてくんねぇか? 歩きにくくてしょうがねぇ」苦笑いしながら言うと

美由紀は「いやぁー!絶対いや!」と 言いながら 余計いに力を入れてくる 「全くぅ 我儘なお嬢さんだぁ」と涼が半ば諦めるように言った すると美由紀が「あのね 私にとって涼は凧なのそ…」とまだ話の途中で涼が「タコ?この俺がぁ?よしてくれぇ 確かに俺ぁ頭も薄くなってきてる でも タコはねぇだろぅ?」と呆れている

「バーカ 人の話最後まで聞きなさいよ!誰が海にいるタコって言ってたのよ あのね 良い?涼はぁ 空に上げる凧見たいで 糸が切れると どっかに飛んでいっちゃうでしょ?だからぁ 糸が切れても大丈夫なように こうやって 涼にしがみついてるの! 分かった?」 美由紀がまた悪戯な目で 涼を下から見つめながら言った

涼はこの美由紀の悪戯な目に弱い 「あぁ 分かったぃ 凧… ねぇ」と小さな声でつぶやく 「ん? 涼 何か言った?」美由紀が聞き返した 「いやぁ 何でもねぇ」涼が言うと 「そう」と美由紀が答えた

二人はそんな会話をしながら淡く幻想的にライトアップされた海辺を歩いいて行く 海からは心地よい風がまとわりつく様に吹いている 暫らくして二人はベンチに腰を降ろした  岸壁の突堤付近で少し薄暗いという事もあり 辺はカップルだらけだ しかしそこからの眺めは 正面には六甲アイランドを含め摩耶の工業地帯の灯りが 右には灯台の灯り 海を行き交う船の灯り そして 左を見ると モザイクの店灯り さっきの大観覧車のイルミミネーション
さらには ポートタワーのライトアップ その向こうに 阪神高速のオレンジの灯り さらには 六甲の山頂に輝くイカリマークに神戸市のマークという 素晴らしい眺めだ

「ねぇ 涼 私のこと好き?」と美由紀が言った 「何で 今更?」と涼が答えた 美由紀は 涼の味気ない返事に 一瞬寂しそうな表情で 「もういい」 と それきり喋らなくなった しばらくの沈黙の間 涼は (歳の差があるのは分かってて付き合った それに 美由紀は俺には勿体無いくらいの女だ もっと 同世代か 若いイケメンがいるのに 何でよりによって俺なんだ 俺といて 本当に幸せになれるのか?)涼はそんなことを考えながら 「美由紀 じゃぁ 反対に聞くけど 俺のこと どう思う?」と言うと 美由紀はスクッと立ち上がり 涼の顔を覗き込み また 悪戯な目で


「タコ」と如何にも人をからかうように言った 涼は「あぁ この野郎!」と立ち上がるか早いか 美由紀は 「きゃぁー」と言いながら走って逃げる その後を追いかける涼 

そんな矢先 美由紀が 足を絡ませ 転倒した 「痛!」美由紀が声を絞るように言った 「大丈夫か? 美由紀!」涼が問いかけた 黙ったままの美由紀 「おい 美由紀 大丈夫か?」 なおも心配する涼 「だ ダメ 足 挫いちゃったみたい」 申し訳なさそうに 答える美由紀 「おおぅ 分かった 負んぶしてやる さぁ 俺に捕まれ」 美由紀は「う うん」と言いながら 涼の背中に覆いかぶさった 「いいか?しっかり掴まってろ!」涼が力を入れながら美由紀に言った 「よいしょっと」涼は美由紀を負んぶした 「美由紀 案外 重てぇな」何気なく涼は言った 「バカ」と一言言いながら美由紀は涼の頭を軽く叩いた 「痛ぇ 何すだよ」涼が後ろを向きながら言った 

「フフ でも 涼の背中 とっても暖かーい」と美由紀は言った またまた小さな声でつぶやくように「俺は 重たいがね」」と言った 何気に 後ろをみると 美由紀は疲れてたのか 知らぬ間に 優しい天使のように 眠っていた



次回続く